ブレーキングテイクオフ!
サーフィンというのは波の上を走るスポーツなのですが、走るといってもいつでもフル加速しているわけではないです。
サーフィン上達では加速というものも難しいのですが、ブレーキングも難しいんですね。
逆に言えば、ブレーキングが出来ないと加速が難しくなります。
上級者は必ずどこかでブレーキングテクニックを使います。
波のパワーを最大限に生かした部分から加速したいので、わざとスピードを落とす作業をするんですね。
普段の海を見ていると、ブレーキをかける方はやはり上級者の方です。
特にテイクオフでブレーキをかける方は、間違いなく上級者の方、もしくは中級でも上級者になれる方ですね。
今年のWSLチャンピオンツアーのメンバーでカノア・イガラシ選手のライディングを見てみましょう。
両親ともに日本人なのですが、育つ環境でやはり世界でも通用する日本人のサーフィンセンスが光ります。
6:28秒からご覧下さい。
PCの方は、右下のギアのマークをクリックすると速度を変えることが出来るので、スローでご覧下さい。
波をキャッチしたところからREPLAY動画が始まりますが、手をついて腕を伸ばし始めの位置から、足を着くところまでの動きに注目です。
腕を伸ばし始めた時の板の位置と、足が着いた時の板の位置が上がっているのが分かりますか?
通常の方であれば、滑り始めたのがわかって、腕を伸ばし始めると、身体の重みでノーズを下げてしまう方が多いんです。
手のつく位置も調整が必要ですが、殆どの方が”テイクオフは早いほうが良い”と思っているのでは無いでしょうか?
波のキャッチは早くても、テイクオフは適度にスピードがつきやすいポジションで立ちたいんです。
特に上級者になると、ファーストターンからしっかりと技を入れていきたいので、出来るだけスピードをコントロールできる位置に居たいんです。
スピードをコントロールできる位置というのは、スピードを出すことも落とすことも両方出来る位置ということなんです。
サーフィンというものは、ほとんどが波のパワーを受けてスピードを調節しなければいけません。
当然自力でも多少は出せますが、波のパワーを受けているのが前提です。
波のパワーは波のトップに集中しています。
波のトップを出来るだけ維持できるかどうかがスピードのコントロールが出来る状態なのです。
このカノア選手のテイクオフは、波をキャッチした段階でブレーキングをかけながら立っています。
顔の向きにも注目してくださいね。
この時に下を向いている方が多いのですが、次にアクションをする部分を見てください。
顔が向いている方向へ板が行きやすくなります。
カノア選手は横を向いています。
しっかりと波のフェイスを確認して動いています。
この時に、今降りたらファーストターンでタイミングが合わないと判断して、ブレーキングをかけて、波のフェイスが立ってくるのを待っています。
更には、立ち上がって降りるときにも若干ブレーキングしていますね。
車で言うと、アクセルを踏んだままブレーキをかけている状態です。
車もそうなのですが、ゼロの状態から、アクセルを全開にしてもパワーは出せません。
ある程度回転が上がらないとパワーが出ないのですが、ブレーキをかけたままアクセルを踏んで、ブレーキを開放した瞬間に一気に飛び出させる感じで加速します!
カノア選手はこのブレーキングテクニックを使って、あとから一気に波のトップに向かって行き、バーティカルなオフザリップを決めます。
更にはその後セカンドアクションまで止まらないマニューバーを描いています。
テイクオフでのブレーキングは普段から行えるように、焦らないで波のトップをしっかりと見たまま波をキャッチする練習をしてください。
波のトップとフェイスをしっかりと見ておけば、今は立たなくても大丈夫と分かります。
波のフェイスの角度に合わせてテイクオフという事も簡単に出来るんです。
何度も言いますが、テイクオフ時に板は水平です。
波を追いかける時点では水平からノーズが若干上がっているくらいが良いです。
板のテールが波に持ち上げられないように漕ぐと、板が前に出るしかなくなるので、前に向かって加速します。
この時にボトム方向へ加速させようとすると、テールが持ち上がってしまって、波のパワーをロスします。
波のパワーをロスすると、パドリングパワーで波の前へ出ないと乗れないので前のめりになります。
前のめりになってテイクオフしてしまった場合は、このブレーキングが使えませんよ。
逆にブレーキングと同じ効果を出すために、テイクオフを遅らせるためなら良いのですが…
意図してやっている方も少ないと思いますので。
ブレーキングテイクオフをすると、動画を見てもわかる通り、波のトップから降りることが出来るので、加速も最大限に使えます。
ノーズを下げてしまうと、テイクオフ完了した足が着いた時点で、波の中腹から下に行ってしまいますので加速は絶望的です。
ご自分で乗っているビデオがあったらチェックしてみてくださいね。
波のどのいちで立てているか。
ちょっとした工夫というか、逆の発想というか、これが加速のコツなんですね。
ブレーキをかける練習してみてくださいね。